天の川銀河中心付近の長年の謎が、ようやく絞り込まれつつある

天の川銀河の中心には、銀河で最も極端な環境の一つを支配する重力場を持つ超大質量ブラックホール、いて座A* がある。長年、天文学者たちはその領域を通過するコンパクトなガス雲を観測してきたが、その軌道は偶然とは思えないほど似通っていた。今回、マックス・プランク地球外物理学研究所の研究者らが率いるチームは、高解像度の赤外線観測を用いて、これらの雲の起源は IRS 16SW という大質量接触連星系にある可能性が高いと述べている。

この結果が重要なのは、ガス雲が単なる珍しい天体ではないからだ。ブラックホールへ物質を徐々に供給する過程の一部かもしれない。恒星が深い重力井戸を駆け抜け、ガスが絶えず乱されるこの領域で、こうした雲の再現可能な起源を特定できれば、いて座A* 周辺に物質がどのように注入されるのかを説明する助けになる。

G1、G2、G2t が注目を集めた理由

元記事では、G1、G2、G2t として知られる3つのコンパクトな雲が取り上げられている。それぞれの質量は地球数個分ほどで、熱い水素とヘリウムからの赤外線で輝いている。目を引いたのはブラックホールへの近さだけでなく、3つともいて座A* の周囲をほぼ同じような長い軌道で回っているように見えたことだ。

この類似性は当然の疑問を生んだ。もし雲同士が無関係なら、これほど似た軌道パラメータを共有する確率は非常に低い。別の可能性は共通の起源を持つことだったが、長い間、その起源は不明だった。今回の研究では、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡に搭載された SINFONI と ERIS の分光器による観測を用いて雲の位置と速度を再構成し、共通起源の考えを強めている。

これらの測定を組み合わせることで、研究者らは軌道を過去へとたどり、物質がどこから来たのかを最も妥当に問うことができた。その答えは、いて座A* の周囲を時計回りに回る若い恒星リング内にある IRS 16SW を指している。

暴力的な性質を持つ連星系

IRS 16SW は普通の恒星系ではない。元記事では、大質量接触連星系と説明されており、これは2つの巨大な星が非常に近接して接触し、継続的に物質を交換していることを意味する。この種の系は、それ自体が不安定でエネルギッシュだ。そこに強い恒星風と密な周囲媒体が加わると、状況はさらに苛烈になる。

元記事によれば、この連星からの風が周囲のガスと相互作用すると衝撃が生じる。コンピュータシミュレーションは、この衝撃が G1、G2、G2t で観測された性質を持つガスの塊を生み出せることを示している。つまり、研究に物理的にもっともらしい機構が与えられたということだ。言い換えれば、研究チームは単に雲と連星が空間と時間で一致していると言っているのではなく、その連星が、天文学者たちがブラックホール近傍で追跡してきた種類の天体を実際に作り出し得ると言っている。

軌道再構成とシミュレーションの組み合わせが、今回の結果を以前の仮説よりも説得力あるものにしている。混雑した銀河中心は多くの説明を生み出しうるが、これらの特定の雲について、その運動と形成過程の両方に合致するものは少ない。

これはいて座A* の“給餌”について何を意味するのか

「ブラックホールに餌をやる」という表現は劇的な単発の出来事のように聞こえるが、実際には通常、少量の物質が時間をかけてブラックホール環境へ注入されることを指す。この研究の雲はコンパクトで、それぞれの質量は地球数個分にすぎないが、銀河中心のように動的な領域では、このような塊の繰り返し供給が重要になりうる。

元記事は、いて座A* 周辺の暴力的な環境にもかかわらず、天文学者たちが何が実際に物質を供給しているのかを長年知りたがってきたという大きな謎を明確に示している。もし IRS 16SW が実際に、似た軌道で内側へ向かう雲を作っているのなら、大質量連星はその供給網の重要な源の一つかもしれない。

この考えが魅力的なのは、恒星進化を天の川銀河におけるブラックホールの給餌と直接結びつけるからだ。ランダムなガス流やまれな破壊的イベントだけに頼るのではなく、銀河中心には中央ブラックホールへ漂う物質を継続的に生み出す、より恒常的な仕組みがあるのかもしれない。

新しい観測装置の役割

この研究はまた、現代の赤外線天文学が銀河中心の見え方をどれほど変えたかも示している。塵がこの領域の可視光の多くを遮るため、赤外線装置は不可欠だ。元記事で言及されている観測は、超大型望遠鏡の SINFONI と ERIS によるもので、混雑した視野の中で微弱な構造の位置と動きを測定できる。

対象が、星や電離ガス、強い重力歪みに満ちた背景を移動するコンパクトなガス雲である場合、この技術能力は極めて重要だ。精密な赤外線分光と撮像がなければ、あり得る軌道履歴の微妙な差異を見分けるのははるかに難しい。

なぜこの発見は一つのブラックホールを超えて響くのか

いて座A* は最も近い超大質量ブラックホールであり、銀河進化全般に当てはまる問いを調べるための実験室となっている。もし大質量接触連星がここで、中心ブラックホールへ向かって移動するガスの塊を生み出せるのなら、似た過程は他の銀河核でも起きている可能性がある。天の川銀河は、遠方銀河では見えにくいこうした仕組みを、より詳細に観測できる機会を与えてくれる。

  • ガス雲 G1、G2、G2t はそれぞれ地球数個分の質量に相当し、赤外線で輝いている。
  • 研究者らは超大型望遠鏡の SINFONI と ERIS 分光器の観測を使って軌道を再構成した。
  • その軌道を遡ると、いて座A* の若い星のリング内にある大質量接触連星 IRS 16SW に行き着いた。
  • シミュレーションは、連星の恒星風によって生じる衝撃が観測されたガスの塊を作り出せることを示唆している。

絵はまだ発展途上だが、以前よりはるかに鮮明になった。かつては孤立した奇妙な天体として扱われていた3つの不思議な雲は、今では天の川銀河中心で繰り返される過程の証拠のように見える。もしこの解釈が正しければ、銀河最大級の怪物の一つは、少なくとも一部を、中心で結びついた2つの星の混沌とした生涯から得ているのかもしれない。

この記事は Universe Today の報道に基づいています。元記事を読む

Originally published on universetoday.com