材料科学にも自律型ラボの時代が来ている

マンハッタン中心部の研究室では、ロボットシステムが最小限の人間の介入で元素を混合し、合金を溶融し、構造を解析し、性能を試験している。目的は単純な自動化ではない。AIに新しい材料を提案させ、評価に必要な実験を行わせ、結果から学習させ、そのサイクルを従来の材料研究ではほとんど達成できない速度で繰り返すことだ。

この研究室を運営するのはスタートアップのRadical AIで、同社はこの手法によって、より長寿命のジェットエンジンから核融合エネルギーシステムまで、幅広い産業用材料の新規開発までの道のりを短縮できると主張している。同社の言い分は、AIは既知の配合をふるい分けるだけではないということだ。発見の全ループを動かすことにも役立つという。

なぜ材料発見はこれほど難しいのか

新しい材料の開発は、しばしば非常に時間のかかるプロセスだ。科学者は仮説を立て、候補を合成し、特性を評価し、試験し、その結果に基づいて仮説を修正する。Fast Companyによると、このサイクルには20年以上かかることもある。この遅さが問題なのは、新材料への需要が高まる一方で、世界が不足、性能制約、採掘や製造に伴う環境負荷に直面しているからだ。

言い換えれば、材料科学には高価値な課題が多いが、実験速度に制約されている。だからこそ、大規模な設計空間を探索できるAIシステムや、人間の勤務時間を待たずに反復試験を大量に実行できるロボットとの相性が良い。

Radical AIは自社システムの仕組みをどう説明しているか

元記事によると、同社のAIシステムは5秒で10,000本の科学論文を読める。チームが課題に着手すると、望ましい材料特性の条件をシステムに与える。するとAIは38万本の論文と、研究室から得られた5,700万件のデータポイントを参照し、その中には通常は公開文献に出てこない失敗実験も含まれている。

この最後の点は重要だ。科学では、失敗の中に探索空間を絞り込むための情報が含まれていることが多いが、その失敗は内部ノートの外にはほとんど見えない。Radicalのシステムはそれらを作業記憶の一部として使い、さらに十数件から数百件の候補材料を提案する。

予測エンジンではなく、自律型ラボ

この研究室は材料科学の標準的な装置を中心に構成されているが、ワークフローは高度に自動化されている。Fast Companyによれば、この設備は1日あたり最大50件の実験を実行でき、夏の終わりまでに100件を目指している。CEOのJoseph Krauseは、1年に50件程度しか実験できない人間の材料科学者と対比している。

ただし、それで人間が不要になるわけではない。人間の研究者は、目標の設定、出力の評価、どの方向性が重要かの判断に集中することになる。Radicalの考え方では、システムが文献調査、仮説生成、実験実行の大半を担うため、1人の科学者が複数の課題に集中できる。

何が変わり得るのか

このモデルが有効なら、産業R&Dにおける最も頑固な制約の一つ、つまり望ましい特性から実用可能な新材料へ移るまでに必要な時間を変える可能性がある。発見が速くなっても商業化が保証されるわけではないが、より多くのアイデアを試し、悪い案を早く捨てられるようになることで、探索の幅を大きく広げられる。

同社は昨年、シードラウンドで5,500万ドルを調達した。これは、科学を要約するだけでなく、物理的なハードウェアとより密接なループで実行するAIシステムに、投資家の関心がどれだけ集まっているかを示している。ソフトウェアのベンチマークより検証は難しい主張だが、AIが現実世界の研究を変えるのであれば、まさに重要なのはこの主張だ。

この研究室が際立つ理由

  • このシステムは、AIによる仮説生成と自動化された実験ワークフローを組み合わせている。
  • 公開文献に加え、研究室内の数千万件規模のデータポイントを活用している。
  • 同社は、研究室がすでに1日50件の実験を実行でき、100件を目標としていると述べている。

長年にわたり、科学におけるAIの役割は抽象的に語られることが多かった。Radical AIは、発見の未来は、自ら読み、推論し、そして自分のアイデアを産業速度で物理的に試せる機械にかかっているのかもしれない、というより具体的な主張をしている。

この記事はFast Companyの報道に基づいています。元記事を読む

Originally published on fastcompany.com