有名な分子の起源が、よりはっきり見えてきた
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使う天文学者たちは、宇宙化学で最もよく知られた分子の一つがどこで形成されるのかを理解するうえで、大きな一歩を踏み出した。対象は、地球から約12,400光年離れたりゅうこつ座の惑星状星雲Tc 1で、分子はbuckminsterfullerene、通称「バッキーボール」だ。
今回の新観測は、Western UniversityのJan Cami教授らによるものだ。彼らは2010年にスピッツァー宇宙望遠鏡を使って、宇宙で初めてバッキーボールを特定したチームの一員でもある。ウェッブの中間赤外線観測装置、MIRIを用いて、チームは同じ天体に再び向かい、出典が星雲の初の詳細な姿と説明するデータを得た。より豊かなデータセットは、これら特異な炭素構造の誕生場所を示している。
これは重要だ。バッキーボールは単なる科学的な珍品ではない。過酷な天体物理環境で複雑な分子がどのように組み上がるのかを示す基準点だからだ。研究者がそれらがどこで、どのような条件下で形成されるのかを特定できれば、炭素ベースの化学が宇宙に広がるより大きな経路を、より確かな形で把握できる。
バッキーボールとは何か、そしてなぜ科学者が注目するのか
バッキーボールは、60個の炭素原子が六角形と五角形のパターンで並んだ球状分子だ。正式な化学名はC60で、その構造はサッカーボールにも測地ドームにも似ている。この分子は1985年にサセックス大学のSir Harry Krotoと同僚たちによって初めて合成され、この研究は後に1996年のノーベル化学賞につながった。Krotoは、同じ幾何学を思わせるドームを設計した建築家Buckminster Fullerにちなんで、この構造をbuckminsterfullereneと名付けた。
天文学者が宇宙でそれを確認できるよりずっと前から、科学者たちはこうした分子が宇宙に広く存在するのではないかと考えていた。炭素は豊富で、天体物理環境は予想外に精緻な化学反応を生み出しうる。それでも、予測は検出ではない。Camiらが宇宙におけるバッキーボールの証拠を報告したのは2010年で、スピッツァーによるTc 1の観測が使われた。
その発見は直ちに、より難しい問いを投げかけた。こうした分子は自然界で、いったいどのように生まれるのか。星雲の中で分子を見つけただけでは、その環境のどこで形成されたのか、どの放射場が形づくったのか、あるいは恒星進化のどの段階が必要条件を作り出したのかは分からない。ウェッブは、まさにそうした問いを明らかにするために作られた望遠鏡だ。


